友人からの郵便が届かないまま、ここハノイに見切りをつけ移動することにした。オープンバスチケットという、3ヶ月内であれば、いくつかの街に滞在しつつホーチミンまで行けるチケットがあり、17$〜25$である。安い。私は、泊まっているホテルでサービスするチケットを購入した。それは22$であったが、ニンビンに行けるからである。2件隣の旅行代理店では18$で売られていたのだが、それはニンビンには行けなかった。
そもそも、なんだか胡散臭かった。もらったチケットにはニンビンの二の字も書かれていないし、ニンビンといくら強調して言っても、渡してくれたホテルマンはニコニコ笑っているだけだった。ミネラルウォーターのサービスがあると聞いていたが、そんなものは渡される雰囲気すら無い。バスチケットは、正規のものがバスガイドから渡されると聞いていたが、チケットをいくら見せてもそのまま返されるだけ。バスは豪華のはずが、ちょーおんぼろバスである。走る間もなくパンクした。修理に1時間ほどかかった。まあ、こんなのはよくあることだと気にも留めなかったのだが、2時間で着くはずのニンビンへは、3時間たっても4時間たっても着かなかった。
やられた〜と月を見ながら呟いていた。バスには運転手1人、補助1人の2人だが、英語は通じない。たぶん、フエまで行っちゃうんだろうと私はがっくりと肩をおとした。ベトナムの悪路におんぼろバスである。寝ろと言われてもジャンプの連続と騒音で寝れるわけがない。それでも、隣のおっさんはジャンプしながら、いびきをかきながら寝入っていた。
朝8時にフエに着いてしまった。昨晩の7時出発だったので、13時間もおんぼろバスに揺られたことを悔やんだ。私はもうろうとしながら降ろされた。
日本語が話せるティーと出会ってなかったら、チケットは無駄になっていた。そう、もらったチケットはインチキであり、オープンバスのチケットではなかったのである。ホテルマンがいくばくかの金を運転手に渡していただけであった。ティーは何度も電話をし、ようやく明日、チケットを送ってもらうよう手配してくれた。しかしながら、ベトナム人は夏季休暇中であるのと、ここフエは2年に一度の大祭のため、宿代は2倍だった。ティーのアイデアにより、さらに6$の往復バスチケットを購入し、ここから4時間のホイアンに行くことにした。(オープンバスチケットは1ウェイなので戻ることはできない。)
最悪の事態だけは免れたが(たぶん)、ニンビン代4$は帰ってこないし、私のニンビンは消滅してしまった。よく考えてみたら、ニンビンに行くのに夜7時の出発はおかしいのである。そして、昨日は・・・そうか・・・。