朝7時に目覚めた私は、汽車のチケットを買いにホアヒン駅に行きました。しかし、駅には誰もいません。しばらく、掲示板や時刻表らしきものを眺めていましたが、なにせ、タイ語はフニャフニャしていてさっぱりです。とその時、駅員がひとり入ってきました。さっそくチケットを購入しようとしたところ「11時15分に汽車が来るから11時に来なさい。」と、そっけない返事。
時刻表をよく確かめたところ11時11分着になっていて、“さすがタイ、アバウトだよなぁ〜。”と呟いてしまいました。
ところで私は、ここから汽車で2時間くらい南の街パラチュアップキリカーン(タイ人の発音と地図をにらめっこし勝手に命名しています。)に行こうとしていました。しかし、覚えにくい名前の街です。地図で確かめると、飛行場のマークがついているので、そこそこの街だろうと考えていたのでした。
さて、駅員のご指摘のとおり11時に駅に行き、チケットを購入。汽車は11時53分に来ると言われ、チケットにも、そう印刷されています。まあ、ピッタリに来ることなんてあり得ないし、1時間遅れくらいですむのであれば想定内です。
その後、汽車は11時45分くらいに到着し、それに乗り込みました。私は心の中で“なーんだ、少し早いじゃん。”くらいにしか、思っていませんでした。
汽車は駅を出発し、しばらくすると車掌がチケットを切りに廻って来ました。チケットを提示すると、車掌の顔は曇りだし、“違う!反対だ!!”と叫びます。私の顔はみるみる真っ青になっていたと思います(たぶん)。そうです、私は目的地とは逆のほうの汽車に乗り込んでしまったのでした。よく考えてみたら(考えなくても)その汽車は北に向かっていたのです・・・。私は最後尾の車両(車掌車両)に誘導され、車掌数人が相談していましたが、そのうち、ひとりがトランシーバーでどこかに連絡をとりました。すると、なんと私のために、南行きの汽車が駅でもないところで待っていてくれたのです。車掌達の敏速で親切な行動に感謝です。
再び、ホアヒンに着いたのは12時15分でした。ほっと胸を撫で下ろしたところで、喉が渇きました。私は思わず、車両の中を行き交う物売りに“おばさ〜ん、水いっぽ〜ん!”と、合図を送っていました。