インド鉄道に2回も乗っていると、なんとなく概要がつかめてくる。
私は、アーグラからデリーまでの汽車のチケットの予約はしないでいた。
なぜかというと、アーグラカントという中央駅は宿から6kmもあり、またリキシャを使うのがいやだったのと、当日でも買えると判断したからだ。
タイムテーブルを見ると、朝にも数本停車し、その時間も書かれているのだが、遅れるインド鉄道ではあてにならない。
出発の朝、私はすでに5時半にオートリキシャで駅に着いていた。
そんなに早い時間なのに券売所は大混雑で、10箇所くらいある窓口すべてに長蛇の列ができており、私はなんとなくだが1番窓口に並んだ。
すると、どこにも割り込もうとするやつがいるもんである。窓口の近辺では常に言い争いをしている。
デリーまでは4時間くらいなので、2等シートのチケットを買った。車内は混雑するのがわかっていたが、短い時間なのでどうにでもなる。値段は31ルピー(75円)と、とても安い。
案内を聞いてもチンプンカンプン。人に聞いても、それぞれ違う答えを言う。
来た汽車がデリーに行くか、5人の男に聞いて、皆首を傾げるので飛び乗った。
車内はもちろん、インド人ばかり。予想にたがわず混雑している。ひとりの老人が、少し座席に隙間を作ってくれたので座ることができた。4人掛けの長いすに6人座りである。
こういうところのインド人はやさしい。カバンはここに入れなさいとか、チャイの器を捨ててくれたりとか。
インドの旅情も、このクラスが一番味わえる。慣れてくると楽しくなってきた。
駅に着いても案内もなければ、英語の掲示板もない。周りの人に。ここがニューデリーか?と聞くと首を振るので降りない。そんなことを4~5回繰り返して、大都会、そして悪名高いニューデリーに到着した。