彼女は9年間、旅をし続けている。
彼女は、もう鳥である。
世界一周どころか、2周、3周とグルグル周っている。
いや、周っているのではない、好きな時に好きな場所に飛んでいくのである。
彼女の自由奔放さには呆れてしまう。
もはや、思考の垣根などない。
マンドゥでは、10年間、インドとイランを旅している人物に会った。
その人物も、常に驚きと慈しみを忘れない、澄んだ目をしていた。
ある旅人が言った。
「もう、金が尽きたから自国に帰る。」
9年間旅を続けている彼女は、こう言った。
「働けばぁ~。金が無くなったくらいで旅を終えてしまうなんてつまらないじゃん。」
私は、彼女の言葉を、一語一句もらさず聞いていた。
自分の中で、何かが弾けた。
旅は面白い。
心から、旅は素晴らしいと思っている。