また、教会に来てしまった。
私は、クリスチャンではないのだが、妙に落ち着くのである。
そしてと、うとうとうとうと・・・・。
気がついたら、かなりの人達が座っている。
陽の光が扉の影を長くし、やがて教会内の照明が灯されはじめた。
静粛なる空気が流れている。
これは、ミサ?というやつかも知れぬと、興味半分で、そのまま座っていた。
気がつくと、私の両隣も隙間なく座られている。
もう逃げられない。
神父様がお見えになり、能天気な音楽が流れ始めると、起立である。
皆がやっているのに、私が座っているわけにもいかず、席を立つ。
2曲ばかりの合唱が終わると、座れるだろうと思ったのだが、そうはいかない。
次には、代表の人が、聖書からの抜粋だろうか、何かを読み上げる。
時々、男の人と合唱する。
そうすると、一緒に読み上げている人もちらほら。
もうひとり、交代で読み上げる。
それが終わって、ようやく着席が許された。
そして、待ってましたとばかり、神父様の暖かい御心をいただくのである。
何を言っているのかは、勿論さっぱりわからないが、全て英語である。
さっきの聖書の朗読といい、すべて英語で話されている。
私は、はて、日本ではどうなのかと、疑問に思っていたりする。
神父様の話が終わると、またカントリー調の音楽が流れ、起立である。
私がイメージしている壮厳な雰囲気は微塵もなく、陽気な音調で歌われる。
もう少し、神父様のお言葉をいただきたかった・・・うそうそ座りたかっただけですが。
アーメンだけは、言いましたよ。
今度は着席ではなく、膝をフロアーにつけ、手を合わせている。
真似しているのだが、だんだん恥ずかしくなってきた。
そして、また合唱する。
起立して、手を上にかかげ、合唱する。
2人の女性が虫取り網みたいなものを持ってきて、お金を徴収しに来た。
これは、やばいと少し緊張したが、
『神様、私は見学に来たのです。体験見学なので、今日のところは目をつむってくださいませ~』
と心の中で唱え、お許しをこうた。
最後に、一列になって、神父様に何かしてもらうのだが、これは無理と、そそくさと横の出口より抜け出した。
外にいた人が私をじろじろみながら、「こいつ、何をやっているんだ。」と、背中から聞こえてきた気がしていた。