インドの牛はおもろい。
インドの牛がおもろいのか、牛という動物がおもろいのかはわからないが、見ていて飽きない動物である。
インドでは、そこらじゅうに牛がいる。
牛がいない街なんてない。
ムンバイでさえ見かけた。
チャイを飲みながら、つぶさに牛を観察する。
別に牛に興味があるわけではないのだが、おもろいので、ついつい見てしまう。
街を歩きながら、牛の行動を追っている。
それを見ることに夢中になり、車に轢かれそうになったこともあった。
ある時は、バイクともろに牛の顔面とが衝突していたが、牛は目を細めただけで「そんなのへっちゃらだよ~。へへん。」とでも言いたげにやせ我慢をしていた。
また、ある時は、牛が食べていた草を踏んでしまった為、頭突きの猛攻撃にあってしまった。牛の力は強いのである。
その時は肝を冷やした。
牛の視力は異常にいい。
遥か30メートル後方のバナナの皮を目ざとく見つけ、反転し、「こっちには何もないよ~、ただ歩いているだけ。」と、他の牛に覚られないように、のっしのっしとゆっくり歩きながらペロリといってしまう。
牛には、バナナの皮はご馳走なのだ。
そのへんの草には見向きもせず、バナナを見つけると突進してくる。
試しに、パパイヤの皮をあげてみたら、美味しそうにパクパクいっちゃってる。
ただ、柑橘系の皮は、苦手の牛が多い。
30%の牛しか食べてくれない。
山羊もそうなのだが、牛は、紙もビニールも食べてしまう。
電柱に貼られたポスターも牛の餌食になってしまう。
ブンディには、美味しいサモサ屋がある。
この旅で3本の中に入るくらいにうまい。
当然、男達がたむろしているのだが、その周りには牛がたむろしている。
サモサは、新聞紙に乗せられてソースをかけられでてくるのだが、牛達は、そのソースが染み込んだ新聞紙を狙っているのだ。
それを、わかっているのかサモサを食べた人は、新聞紙をそのへんに捨てる。
そうすると、そばの牛がご馳走にありつけるという仕組みになっているのである。
実にうまそうに、その新聞紙を食べる。
時々、店の人が棒で追っ払うのだが、すぐに牛達は戻って、所定の場所で待機している。
インドの牛は憎めないおもろい奴なのだ。