「河童が覗いたインド」 妹尾河童著(新潮文庫)
この本が、これほどまでに面白いとは思っていなかった。
この本は、友人から送られてきたものである。
思い返せば、日本の古本屋に何度か陳列されているのを目撃していた。
その背表紙から受ける印象と、数の多さに
「どうせつまらないだろうなぁ~。」と、パラパラとめくりもしなかった。
著者が描く絵は、実にリアルに詳細に描写されていて、素晴らしい。
書かれている内容も、実に個人的な感想を中心として、読んでいて共感できることが多い。
驚くのは、著者が旅した30年くらい前の風情を描いた絵と、2007年現在のインドが違わないのだ。
そこに描かれている絵は、今、私が見ている風景とほとんど一致している。
インドという国は、30年の永きに渡って、何も進歩していないのか。
それとも、それを拒んでいるのか。
日本の30年前といったら、鬼が・・・いや、カラスが笑う。
インドが、より複雑怪奇に思えてきた。
これから先、30年後のインドも同じ風景を提供してくれるのだろうか。
私が、それまで生きていれば、また見てみたいと思っている。