列車はPM10時、定刻通り出発した。
久しぶりの寝台特急だ。
足を伸ばし横になる。
夜の移動は列車に限る。
6人コンパートメントにおっさんと2人きりだ。
目をつぶるとそのまま深い眠りについた。
トルコ国境でたたき起こされた。
ブルガリア国境の時は半眠りで記憶が薄い。
そして、ルーマニア国境の時は、パスポートを持っていかれた。
寝たり起きたりを繰り返しながらも列車は走る。
電車になったり、ディーゼルになったりして、私達を引っぱってくれる。
景色を眺めていると、急に一面が黄色くなった。
ああ、ひまわり畑だ。
私の頭の中では、ソファローレンの悲しい顔が浮かび、ヘンリーマンシーニ
が聞こえてきた。
ヨーロッパを感じる。
列車は1時間遅れのPM7時にブカレストについた。
おっさんに、着いたぞと肩をたたかれた。