鳩が、ポップコーンをつついている。
たったひとつのポップコーンに10羽もの鳩が群がっている。
大きくて、喉を通らないようだ。
やつらが一回吐き出したポップコーンを、そばにいたスズメが横取りして飛んでいった。
スズメはとても賢いようだ。
私がまたポップコーンをばら撒くと、同じ事の繰り返し。
鳩は学習能力がないのか。
ローマ市内には観光客が群がっている。
カメラを携え、右へ左へとぞろぞろと群れをなしている。
ローマ市民には、なかなか会うことができない。
この時期、まともなローマ人は、バカンスをとって海へ山へと繰り出しているのだろう。
もぬけの殻となったローマは、世界各国からの観光客でごった返している。
教会の中で子供がコマを回して遊んでいる。
親は、写真を撮ることが精一杯で、子供のことなど見ていない。
私が広場の木陰でビールを飲んでいると、酔っ払いおやじがからんでくる。
彼は歌を歌いだす。
口でトランペットの音を真似している。
ジャズだ。
私は、ベース音でそれについていく。
そばの噴水では、旅行団の酔っ払いが暴れている。
ビール片手の彼らには、すでに誰も手をつけられない。
ここには、まともなやつなどいない。
私を含めて、皆馬鹿である。
ローマは馬鹿がいっぱいいる。