ポルトガルのポルトに行く為に、カルダスでバスチケットを買った。
その後、私は待合の椅子のもたれかかり、安心したのかそのまま寝込んでしまった。
はたと目覚めると、すでに出発時間を過ぎている。
何やってるんだろう・・・と、声にならない呟きとともにうなだれた。
しかし、その日にもう一便あったので、大事にはならなかった。
それが、ひとつ。
そして、もうひとつは、バスで移動中に立ち寄った売店でパンを買ったときである。
クロワッサンを2つ買って、ジーンズのポケットから財布を取り出し、ショーウインドーの上に置いたまでは覚えている。
宿で、宿泊費を払おうとして、ジーンズのポケットに手をつっこんだが、そこには何もない。
慌てて、あらゆる所を探したが何処にもなかった。
財布の中には、コインだけの小額な金しか入っていなかったので、これも大事には至らなかった。
しかし、掏られたのでも落としたのでもない。
わざわざ、ショーウインドーの上に置き、はい、取ってくださいと置いてきたのだ。
ヨーロッパでは、あまりに何も起きないせいで、気持ちがゆるんでしまったのか。
どうしようもないと自分を戒めても、また、起きそうな気がする。
このまま、アフリカに入っていく自分が怖くなってきた。