夜行バスに乗った。
37ユーロも払った高級バスは、想像以上に乗り心地が良かったが、深夜に起こされてしまった。
バスはいつもそうである。
ようやく眠れる、というときに起こされるのだ。
今回は、深夜食を食べされられた。
眠い目をこすりながらの食事は味気がしなかった。
まだ、明けやらない空を見上げながら着いたところは、スペインの首都マドリッド。
すでに、秋風が強く吹くなか、体を縮こませながらバスを降りた。
その後すぐに、私は、さらにバスを乗り継いでトレドに向かった。
トレド、そこは、誰もがスペインを思い描くところ。
石畳の階段通りが迷路のように入り組み、歩く人々の方向感覚を失くしてしまう。
私も、今までのスペインにスペインを感じられずにいた。
今ここに着いて、ようやく、スペインを感じることができた。
この迷路がたどり着く先を見てみたい。
今は、それを楽しみにしている。