清々たる空が広がっている。
湖に雲が浮かんでいる。
それらが波紋と共に揺らいでいる。
湖はどこまでも透き通っている。
美しい!
南米のスイスというのは、間違いではないようだ。
ここはバリローチェ。
チリ国境に近いパタゴニアの町だ。
それにしてもツーリストが多い。
いや多すぎる。
バリローチェの町には、右を向いても左を見てもツーリストが溢れている。
安食堂なんて存在しない。
うろついている多くのツーリストは、湖畔のレストランで景色を満喫し、アイスクリーム屋で糖分を補い、カフェで雑談会でディナーの為に腹を減らし、日が暮れれば、赤い液体に舌づつみし、血肉滴るステーキを頬張るのである。
私を含むあまりお金を持たない人々は、品数の少ないマーケットで、いかに効率よくお腹を満たすかを必死に考えることに喜びを感じている。
そんな人々を受け入れているホステルも30カ所を超えている。
今、私が宿泊している宿は、とても居心地がいい。
大きな窓から湖と遠くの山々が見渡せる。
ドミトリーなのにダブルベッドで、毎日、素敵な夢を提供してくれる。
インターネットはフリーだし、大きなテレビでオーストラリアオープンを楽しんでいる。
大きな庭には滑り台や、ストレス発散にはもってこいのドラムセットまで完備している。
しかも、ここのキッチンの設備は半端じゃない。
バーナーは9個もあり、シンクが4つ、大きな冷蔵庫が2台、大きなオーブン、電子レンジ、ジューサーやらあらゆるクッキングに対応している。
いろんな国の料理を見てるだけでも楽しくなってくる。
スタッフは親切で、可愛い犬もじゃれついてくる。
気になる宿泊料は1泊35ペソ(1300円くらい)で、バリローチェでは最安値だ。
私はこの快適な宿でだらだらと毎日を過ごしている。
ここを離れるのには大きな力が必要だ。