負けるもんか、カチにいくぞ!なんて意気込んでも、何にも役に立たない。
ここは、アルゼンチンの北部、英語さえも通じない。
アンガタコまではローカルバスで行ける。
しかしその先は、もう公共交通機関がない。
私は、その先の85kmをヒッチハイクしようと意気込んでいた。
アンガタコまでの道のりでは、風化した岩山が続いている。
まるで、ハンピやカッパドキアのようだ。
その先を同じ方向に向け、奇妙な造型をした不毛の岩山がそそり立っている。
バスは坂道に差しかかるとギアをローに入れ、唸り声をあげながら進む。
バスから降りて歩いた方が速そうだ。
このバスはアジアのバスのようにおんぼろで懐かしい。
椅子はキィキィなくし、窓ガラスはガタガタと煩い。
バス会社の名前もエル·インディオというから笑える。
しかし、その遅いバスを追い越していく車が来ない。
もう1時間も車を見ていない。
これは、ヒッチハイクなど出来そうもない····。
アンガタコの広場にはカチに行くバックパッカーが集まっていた。
全員で9人、私以外は全員アルゼンチン人。
よかった、これでカチに行けそうだ。
どうやらバスの運転手がピックアップを手配してくれたようだった。
南米のグランドキャニオンの間をガタガタと振動しながら進んでいる。
下は真っ平らな草原が、その緑を際立たせている。
雲が近くなって、手を伸ばせば届きそうだ。
凄い!
僅か100kmくらい北に進んだだけなのに、山の風景がまるで違う。
360度見渡せるピックアップの荷台からは、格別な景色をプレゼントしてくれる。
車が調子悪くなったり、対向車が落とした荷物を渡しに行ったり、運転手の昼寝タイムがあったりしたが、無事にカチに着くことができた。
気持ちに負けなくて良かった。