ラ·キアカに降り立つと、案の定、荷物持ちやら、宿の呼び込みやら、バスの勧誘やらが群がってくる。
ラ·キアカはボリビアとの国境の町。
国境までは歩いていける。
しかし、私はボリビアに入るつもりはなかった。
ここから、東へ15キロの小さな村のジャビを目指していた。
バスターミナルからのバスはないようだ。
歩きながらジャビまでのバス停を聞く。
聞いて聞いて、聞きまくってたどり着いた所は、ジャビまで15キロと書かれた標識があるところだった。
そこに居た2人の女性に聞いてみる。
"ここがジャビ行きのバス停なの?"
"バスなんて無いわよ、タクシーしかないのよ"
30分以上歩いた足が、とたんに力がなくなりふらついた。
タクシーを止めて値段を聞いてみる。
"25ペソ"
冗談じゃない、15キロしかないところに25ペソ(840円)なんてありえない。
私は小さな親指を立てることにした。
ユマ·サーマンが羨ましい〜!
木陰で立ちションをしている時に小さなバスが過ぎ去っていくのが見えた。
道路に戻ってみると、2人の女性が喚いている。
"あれがジャビ行きのバスよ。"
"えっ、さっきジャビ行きのバスなんて無いって行ったじゃない!"
と、荒らげていってみるもののバスが行ってしまったのだからしかたがない。
"人が集まると出るのよ。"
と涼しい顔でかえされた。
暫くして、小さな親指がぴくりと動かすと、おんぼろ車が止まった。
"ジャビまで行きたいんだけど"
"乗りな、3ペソだ"
どうやらそれは乗合タクシーのようだった。
私は急いでバックパックをトランクに詰めこんだ。
ジャビに着いた。
アルゼンチンの北のはずれの村。
そこは、土で作られた素朴な村で、今まで見た景色の中で一番綺麗なところだった。