AM5時30分、私はピスコの町に着いた。
あたりはまだ真っ暗だし、こんな早朝では、まだ動いても仕方がない。
ここは海に近く、早朝でも寒さを感じないのがうれしい。
やがて、朝日が顔を出す。
あたりを見渡せば、ここが町の中心とは思えないほど崩れた建物ばかりだ。
信じられない光景に言葉を失う。
少し町を歩いてみたのだが、まともな建物が見当たらない。
あるのはバラックのような建物か、崩れてしまっている煉瓦の山だ。
後で知ったのだが、ここが去年の8月15日のペルー地震の被災地だという。
宿の勧誘のおじさんが教えてくれた。
しかし人々は明るい。
コーヒーを飲んだ屋台のおばさんも、ツアーを組んだトラベルエージェントの人々たちも、一緒にビールを飲んだへべれけ親父たちも。
建物はまともではないが、その中でみな今日を生きている。
トラベルエージェントのお兄さんが、震災後3ヶ月はこの町は死んでいた、泣き通していたと教えてくれた。
瓦礫の町には沢山の赤い血が流れている。
http://www.bo-sai.co.jp/perujisinn.html