"宇多田ヒカルの新曲が150万DLを超えた。"
えっ、DLって何?
それはすぐにダウンロードの略だということに気付いたが、ちょっとショックだった。
インターネットでニュースを読んでいた時のことである。
いずれ音楽業界ではパッケージソフトは少なくなり、あるいは無くなっていく運命にあるとは思っていたが、もう、その売上指数が枚ではなくてDLになってしまっている。
ギネスブックにも載っていた渋谷のレコード·CDショップが激減しているという。
あの、シスコも消えて、マニアックな中古ショップも次々と店じまいしているらしい。
少し悲しくなってきた。
ちまたではYOUTUBEなるものでPVをみている人が多い。
あの画質と音では音楽ではなく、単なる情報だとしか、私にはみえない。
高級CDプレーヤーばかりを作っていたワディアというメーカーが、6万円もするiPODドックを作って販売している。
これには笑ってしまったが、そんなものしか売れない現実があるということだろう。
今、バスの中で物売りが入ってきて売っているものがMP3プレーヤで、これがよく売れている。
なんと、8000ペソ(480円)でイヤホーン付。
隣のガキも購入して、シャカシャカと音が洩れている。
今が最悪な時なんだ······。
音楽を楽しむ環境は、あきらかに退化してしまった。
一旦、形を変えて定着すれば、今後は質が向上してくるはずだ。
バスから流れるサルサは少し私の気分を良くしてくれる。
バスから見える夜景が、雨が窓を伝って濡れている。
オレンジ色の歪んだ光が温かく私の心を包んでいる。