意識が朦朧としている。体の酸素はすべて消費してしまったようだ。頭がクラクラする。ようやく自転車から降りた時は足もパンパンだった。
水が飲みたい。ふと気が付くと、私は玄関の階段に座り込み休んでいた。
しかし、ここは木工お土産屋さん・・・。
私は、“ライステラス”という名の田圃が見れる場所に行こうとしている。この、1速しか使えない壊れた自転車で。ギアは前に3枚、後ろに5枚ついているのだが、壊れてチェンジできない。しかも、一番重たいギアだけなのである。平坦とは聞いていたが、緩やかな上り坂が永遠と続いている。
お土産屋のお兄さんは、奥からヤカンに入った水を持ってきて飲ませてくれた。
「あとどのくらい?」と聞くと、彼は「1kmだ。」と答えた。
さらに進んだところで、飲料水を販売している売店があった。冷たいスプライトを飲むと再び力が沸いてきた。店員に「あと、どのくらい?」と聞くと、「1kmだ。」と、答える。もうとっくに、1km以上走っているのに・・・。
ようやく目的地に着いた。のどかな田園がどこまでも続いている風景を想像していたのだが、段々田園である。
思い起こせばここは、前にプトゥと一緒にドライブしに来たところだった。脱力感が襲ってきた。
私は完全に忘れていたのだ。
30分で行けると教えてくれたところに1時間以上かかってしまった。
よく、ここまで頑張ったとビンタンビールで自分を褒めた。