憧れの地、ブンディ。
欧米人バッパッカーと会話すると、必ずといっていいほどこの土地の名前が出てくる。
インドNO.1と目を見開き、興奮して話す旅人すらいる。
そして私も、徐々にその地を訪れたいという気持ちが強くなっていった。
そこはどんなところなのか?
私はムンバイセントラル駅から北に向かう汽車に乗り込んだ。
汽車の中で、ひとりの日本人女性と知り合った。
彼女は、ジャイプルを目指し、その後デリーから日本に帰ると話してくれた。
そして、もうすぐ旅を終えるからと、永谷園のお吸い物から、塩昆布、即席ごはん、シャンプー、歯磨き粉、歯ブラシ、Tシャツ、ジーンズに至るまでたくさんのものをいただいた。
私は、ビリビリボロボロになったジーンズをムンバイで捨ててきたばかりで、もう、履いている1本しか所持していなかった。どこかで買わなければと思っていた矢先の出来事である。
この巡り合わせに感謝し、彼女に何度もお礼を言った。
彼女は、インドでゲットした手品セットでインド人相手に手品を披露し、すぐに汽車の中の人気者になった。
心からの笑顔をふりまく彼女の周りは、明るさに満ちている。
汽車の中はいつしか、スリーパーのチケットが取れず床に寝るインド人乗客達で、足の踏み場もないほど溢れかえっていた。