おかまちゃんからの熱い視線がきもい!
胸の谷間を見せつけ、腰をくねくねさせ、少し踊ると皆に金をせびってくる。
女性が、このような格好で踊るなんて許されないお国がらか、よだれをたらし、金を撒いているおやじがいるのだ。
ああ、きもい、きもい!
オートバイが、筒状になっている大きな穴をグルグル回っている。
観客は上から見下ろし、悲鳴をあげることになる。
この逆ドームは、ベニヤ板で張られ、バイクが走ると大きく揺れるのである。
そのバイクの曲芸よりも、この筒がいつか壊れるだろうと自分の命が心配になる。
バイクは火花を散しながら真横に旋回し、バンザイし拍手をあおるが、見ているこっちはそれどころではない。
空中ブランコには、ありえないほど多くの曲芸者達が載っている。
ひとつの板切れの上は満員電車のそれである。
これが、曲芸なのか。
ひとりずつ、デモンストレーションというか、自己紹介のようにブランコに乗り、飛び移る。
その後・・・あれれ、それで終了である。
女の子も数人登っていたが、誰一人空中ブランコしていない。
まだ、6歳くらいの子供が高いところで、曲芸(?)をしている。
ただ、可愛い、それしか言えない。
練習のようなそれも、ひとつの演目なのだろう。
それでも、珍しいのかパキスタン人の目を釘付けしている。
極めつけは、筋肉もりもりマッチョマンが出てきての力技。
彼は頭上から垂れ下がる吊り輪の調整に余念がない。
しばらくしてようやく、しっかりと調整ができたようだ。
一回転して、もう一回転して・・・・、終わり・・・・えっ!
そんなぁ~、そのピカピカに油を塗った筋肉は見せかけ?
女の子の綱渡りも、傘をさし、ちょっと登って戻ってきちゃう。
それでも、満席のパキスタン人から拍手と歓声があがる。
マドラール・フセインのお墓では、スーフィで盛り上がっている。
この熱狂は、凄まじい。
男どもに体を触られる。
一緒に歩いていた女性からのキャーという悲鳴を何度聞いたことか。
髪の毛を引っ張ってきた奴には、こちらも思いっきり引っ叩いてやった。
それでも、そいつはにやにやと笑っている。
きもい!
殴り合っているやつがいる。笑っているやつがいる。
一瞬、私の身体をかすめては消えていく。
少し歩くだけでも、相当にくたびれる。
水パイプをやっている。
いや、私はやらない。
皆で廻しながら林檎の香りと味を楽しんでいる。
やがて、食事も振舞われ、あきらかにVIP待遇である。
この異様な熱気と果てしないエネルギーにやられている。
もう、いっぱいだ。
大きな火のまわりは、それが祭りの象徴であるように人間の渦ができている。
あそこに迷い込んだら、もう抜けられないだろう。
それは大きな牙を潜めて、待ち構えているのだ。
昨日からのフェスティバルが夜通し行われている。
そして、まだまだ続いていく。
パキスタン人とは、いったい・・・・・。