はっと、目が覚めた。
もうすぐ、日が暮れる。
前方の太陽がジリジリと路面を照らしている。
砂漠の中をバスは走る。
砂の絨毯に埋もれているような感覚に陥る。
彼方に砂の丘が見え、そこに砂の建物が生えている。
周りは砂丘に覆われて、そこだけが孤立している。
「あっ、シバームだ!」
私のシバームがあった。
幻のように揺らめいて、浮かんでいる。
砂に浮かぶ蜃気楼の街が、私を虜にする。
幻覚なのだろうか・・・・。
目をこすって、もう一度目を開ける。
思わず、口元がゆるみ、顔が歪む。
もう、日は沈んでいる。
バスはスムーズに、砂の絨毯の上を滑っている。
砂漠にわずかな草が影となって見えている。
私は、シバームの余韻に浸りながら、ライトで照らされた砂丘を眺めている。