ブルガリアのソフィアに着いたのは、夜の10時を回っていた。
そのため、また、ブカレストで駅泊をしてしまった。
宿代を浮かそうと思ったのではない。
もう、宿まで行くのが面倒だっただけだ。
それにしても列車の中は居心地がいい。
イギリスから来た少女は、ブルガリアのイミグレで降りた。
ルーマニアの少女は、ブルガリアの田舎町で降ていった。
そして最後には、6人コンパートメントに私1人になってしまった。
足を伸ばし、横になってゆっくり寝ることができた。
おじいさんが立っていた。
ニコニコしながらこちらに手を振っている。
彼はタバコを吸う仕草をするが、私が手を横に振ると窓のほうに出て行った。
暫くして、彼は戻ってきてちょこんと腰掛ける。
私を見てニコニコしている。
それからいくつものトンネルを潜ると、明りの集合体が見えてきた。
ようやく目的地ソフィアに着いたようだ。
ソフィアの街並は、すでに静まりかえっていた。