ラテンミュージックをガンガンかけ、店主は踊りながら肉皿を見せつける。
“どうだ、うまいだろう”、そんなことを言いながらイタリア語で吠えまくっている。
路上のレストランでは、イタリア語が飛び交い、笑いが絶えない。
じじいが抱きついてきて、すぐに友人扱いだ。
テーブルは坂道に置いてあるので、何かを置くと下に落ちてしまう。
隣の爺はすでに石畳にビールをご馳走している。
何の役にも立たないテーブルだ。
炭焼きの肉をはさんだパンをうまそうに頬張り、片手にビールで体は踊っている。
毎夜陽気なイタリア人に囲まれ楽しい夕食にありつける。
私もビバ!イタリア、ビバ!シチリアと爺たちと肩を組んで踊っている。
夜10時頃からは毎夜広場で上映会だ。
今日はなんとゴッドファーザー。
私は、そんなベタなと笑いながら広場の階段に座り込む。
勿論、イタリア語に吹き替えられ、すっかりシチリア気分に浸れる。
スクリーンは強い風に打たれ前に後ろにと揺れている。
子供たちがスクリーンに自分の影を映し出しふざけている。
その度に叱っている大人がいる。
ここはシチリアだ。
ビバ!シチリア!