青い空に雲が連なっている。
たくさん、たくさん連なっている。
丘には、無尽に石垣が続き、石垣でできた道は、
まるで遠近法の教科書のように遠くまで見通せる。
石垣の中では、牛や羊が美味しそうに草を食べている。
家々も石を積んで造られ、粘土のようなもので固められている。
遠くには、エオニア海が広がり、その青さを見せ付ける。
私のシチリアがここにあった。
ラグーザからパルレモまでの道のりには、シチリアの素晴らしい景色が続いている。
この景色を見たかった。
この景色さえ見れれば、イタリアは満足だ。
やがて、バスはエオニア海に沿って走る。
この見事な青さは、私の眠気を吹き飛ばし、深く脳裏に焼きついていく。
そして、バスは、活気溢れるパルレモの街に入った。