星空を眺めながらのバス移動はいいものです。
オリオン座は、いつも私の心を癒してくれます。
もう、対向車もまばらで、ヘッドライトに照らされる回数も少なくなってきています。
聞こえるのは、バスから発せられる機械音と排気音だけ。
外は闇。
道路の形さえ見えない真っ暗な世界をバスは走ります。
私は今、夜行バスに乗って西サハラの首都、ラユーンに向かっています。
闇なので景色はまったく見えませんが、砂漠の中を移動しています。
バスの中で、心地よく眠ることができました。
こんなことは稀です。
10時間も乗っていたのに疲れていません。
カフェオレを飲みながら朝を迎えました。
朝日が昇ります。
一面ピンク色の世界が広がってきました。
ラユーンの街並はピンク色に統一されているようです。
ラユーンの街を歩きだす前に、荷物をバス会社に預けようとカフェを後にしました。
<西サハラについて>
西アフリカの多くの国がフランスから独立した後も、スペインは、スペイン領西サハラを保持し続け、やがて放棄。そしてそこに独立国としての機能が動き出す前に、北からモロッコ、南からモーリタニアが侵攻し、紛争が始まりました。独立派であるポリサリオPolisario戦線はモーリタニアには勝利したものの、国土はモロッコに押さえられ、アルジェリア内に亡命政権「サハラ・アラブ民主共和国」を設立し、抵抗を続けています。「サハラ・アラブ民主共和国」はアフリカ連合(AU)に加盟し、世界約80ヶ国から承認されている国家です。国連の仲介によって両者は停戦しましたが、停戦条件である「独立かモロッコ併合か」を決める住民投票は、モロッコの意思によって延期されたまま今も実現していません。