私はいま、鉄路を歩いている。
もう、あたりは闇に覆われ、砂利と枕木の区別がつかない。
空は雲に支配され、星さえも姿を現さない。
やばい!
溝に足を踏み入れば怪我をする。
耳を澄ませる。
体で感じながら足を進ませる。
右の方では轟音を轟かせながら、川が暴れている。
何かが光っている。
光っているものが動いている。
見上げると、沢山の光が浮かんでは消えている。
夜光虫だ。
私は夜光虫に案内されながら、勝手に足が動いている。
民家の灯が見えてきた。
助かった。
私は2時間半、鉄路を歩き続けて、やっとアグアスカリアンテに着いた。