ここに着いたその日は、滝のような土砂降りの雨が断続的に降っていた。
しかしお腹がずいぶん前から鳴っていた。
我慢出来なくなって、雨の中ずぶ濡れでレストランに走り込んだ。
食後はまたシャワーを浴び、もう外出ができなかった。
次の朝はうってかわって快晴。
とはいうものの、海は茶色く濁り、ビーチの砂は黒ずんでいる。
宿主に聞くと、最近の雨はひどくて、今日のおてんとうさまは久しぶりだと言う。
綺麗で有名な場所に来たつもりが、そうではなかった。
それでも滝を目指して歩く。
道はぬかるんではいたが、あのバスティメントス島ほどではない。
獣道だとわかっていたのでカメラなどは持っていかなかった。
綺麗なはずの滝壷は、木屑が散乱しており濁って飛び込む事ができなかった。
がっかりだった。
海も川も濁っている。
そして、昨日の美人はどこに行ったのか····。
その姿を確認することはできなかった。
明日は他へ移ろうか、などと思っていた矢先にひとりの日本人女性に出会った。
彼女はチリ人の彼氏と共にアクセサリーを販売しながら、3年間中南米を旅している。
そして、ここにはすでに3ヶ月になると言う。
"そんなことはないわよ!ここは素敵な自然に溢れているんだから。"
"そうねぇ、ビーチづたいに歩いて2時間のところに、海に落ちる滝があるから行ってみれば。"
彼女の言葉は、まさにその通りだということにその後気付くことになる。
ここは、コスタリカのニコヤ半島の先端にあるプラヤ·モンテスマ。
コスタリカは素晴らしい自然に溢れている、そう感じるのには2日とかからなかった。